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世間とは個人じゃないか - 本で出会った素敵な言葉 vol.00024

 

【投稿者】

20代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

世間とは個人じゃないか。

 

【タイトル・著者】

太宰治「人間失格」

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

それは世間がゆるさないという言葉に対し、世間ではなくあなたが許さないのでしょう?世間とは、個人じゃないか。世間と大きく謳う言葉も結局、個人のものではないかという核心をついた一節です。いまどきの言葉を使えば、「みんなも言ってた」という表現の卑しさに近いようにも思います。自分の言葉を語る自信がないときに、人は「世間」を机上に持ち出すのではないでしょうか。そんな事実にハッと気付かされた一節で、いつも心に留めています。

【本の内容】

「恥の多い生涯を送ってきました」3枚の奇怪な写真と共に渡された睡眠薬中毒者の手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていました。無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。次々と女性に関わり、自殺未遂をくり返しながら薬物におぼれていくその姿。「人間失格」はまさに太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の1か月後、彼は自らの命を断つ。