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堅く握ったこぶしには愛がないけれども、おともだちパンチには愛がある。愛に満ちたおともだちパンチを駆使して優雅に世を渡ってこそ、美しく調和のある人生が開けるのです - 本で出会った素敵な言葉 vol.0116

 

【投稿者】

30代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

幼い頃、彼女は姉からおともだちパンチを伝授された。姉は次のように語った。「よろしいですか。女たるもの、のべつまくなし鉄拳をふるってはいけません。けれどもこの広い世の中、聖人君子ほそはほんの一握り、残るは腐れ外道かド阿呆か、そうでなければ腐れ外道でありかつド阿呆です。ですから、ふるいたくない鉄拳を敢えてふるわなければならぬ時もある。そんなときは私の教えたおともだちパンチをお使いなさい。堅く握ったこぶしには愛がないけれども、おともだちパンチには愛がある。愛に満ちたおともだちパンチを駆使して優雅に世を渡ってこそ、美しく調和のある人生が開けるのです」

 

【タイトル・著者】

琴音らんまる、森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

この小説は私の一押し。特に冒頭で出てくるこの言葉が私の心をつかんで離しません。この一節から、謎と興味に捕らわれ一気に読み進めてしまいました。とにかくこの小説に使われている言葉がとてもきれいで、知的で、それなのにくすりと笑えてとてもかわいらしい。キャラクターも魅力的で、ほっこりできるのです。野蛮な事をおともだちパンチと上品に妹に語る姉を想像し、それを心に留め、成長した乙女を思うと、一度お友達としてお話してみたいと思うのです。「愛に満ちたおともだちパンチを駆使して優雅に美しく渡ってこそ、調和のある人生が開けるのです。」まったくその通りで、それができたらどんなに素敵にドラマティックでスマートかと感動いたしました。

【本の内容】

大学のクラブの後輩に恋をした「先輩」こと私は、なんとか彼女の目にとまらんとするため努力をするのだが…。しかし天真爛漫な彼女「黒髪の乙女」は私の事などどこ吹く風。京都の街ではおかしな騒動が今日も勃発中!