まえに話したみてえに、話してくれよ - 本で出会った素敵な言葉 vol.0006
【投稿者】
30代 男性
【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】
「まえに話したみてえに、話してくれよ」
【タイトル・著者】
ジョン・スタインベック「ハツカネズミと人間」
【その言葉が好きな理由・感動した理由】
「ハツカネズミと人間」は アメリカが舞台の作品で、発達障害気味で頭は弱いが力は強いレニーと、 頭の回転が早く世渡りもうまいジョージのコンビの物語です。 自分が好きな一節は、レニーが発した言葉 「まえに話したみてえに、話してくれよ」 です。 この言葉はレニーがジョージから殺される場面でレニーが言った言葉です。 なにを話してくれと言っているのかというと「農場を持つ」という二人の夢についてです。 ジョージとレニーは仕事を求めて放浪しながら、自分たちの農場を持つ夢を持っています。 レニーは自分たちの農場を持ったらどんなに素晴らしいかジョージに言い聞かせています。 しかし、ジョージがいつもヘマをしてしまい仕事を追い出されてしまいます。それでも、レニーは 心根のやさしいジョージに惹かれ一緒に行動しています。 ある農場で仕事をするのですが、いい土地を知っている協力者と知り合いになり、ついに農場をもつ夢が現実味を帯びてきます。 しかし、農場主の妻に言い寄られたジョージは拒否しようとして力の加減がわからずその妻を殺してしまいます。 その結果、夢が叶わないばかりか更に悪い状況に追い込まれてしまいます。 レニーがジョージを探し出しだした場面で、状況を理解していないジョージが 「まえに話したみてえに、話してくれよ」 という言葉を発します。この後、レニーはジョージを銃で殺してしまいます。 レニーがどんな思いでまだ夢を信じている純粋なジョージを撃ったかと考えると心が痛みます。 この本を読むと、辛い現実の前でレニーはジョージ殺すしかなかったと感じてしまいます。 悲劇的な結末の本ですが、運命を受け入れて生きていかなければならないと感じさせてくれるー冊です。
【本の内容】
一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って暮らす―からだも知恵も対照的なジョージとレニーという二人の渡り労働者の楽園への夢。カリフォルニアの農場を転々とする男たちの友情、たくましい生命力、そして過酷な現実に裏切られて起こる悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描く。戯曲の形式を小説に取り入れたスタインベックの出世作。