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モモ:ミヒャエル・エンデ - 私の人生に影響を与えた本 vol.0080

 

【投稿者】

40代 女性

【人生に影響を与えた理由】

小学生の時に、母に読んでもらい、それから大人になるまで、何度も何度も読みました。最初は、ただただ空想の世界の楽しさに惹かれ、大人になるにつれ、そのメッセージの深さに気づいていきました。まわりにふりまわされ、時間に追われ、本当に大切なものを見失っていく大人たちと、それを静かに見つめるモモ。何か強い力を持っているわけではないけれど、その小さくささやかな心のなかに、一番大切なものが息づいているのだと思いました。大人になって、何度も自分を見失ったりしたことがあるように思いますが、いま再び、子育てをしながら、モモのなかにある想いを大切にしていきたいと思っています。そして、そろそろ、小学生の子どもたちに読んであげたいと思います。

【内容】

冒険ファンタジー『はてしない物語』の著者であるミヒャエル・エンデが贈る、時間どろぼうと風変わりな女の子の物語である。文章のみならず、モノクロの挿絵までもエンデ自身が手がけた本書は、1974年にドイツ児童文学賞を受賞。小学5、6年生以上から大人まで幅広い年代の人たちが楽しめる、空想力に富んだ小説だ。 円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女モモ。黙って話を聞くだけで、人の心を溶かし悩みを解消させる能力を持った彼女のまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていた。しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「灰色の男たち」の出現により、町じゅうの人々はとりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活を次第に失っていく。 本書は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれる展開を通して、1分1秒と時間に追われる現代社会へ、警鐘を鳴らしている。たとえば、モモの友だちだったニノが「スピード料理」の店を始め、大繁盛しているせいで他人とわずかな世間話をする暇もないというように、時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれている。昨今、モモのように際限のない時間の中で、空想をめぐらせ楽しむ生活はほとんど忘れられている。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢見ることの大切さを教えてくれる本だ。(砂塚洋美)