しーんとする - 本で出会った素敵な言葉 vol.00025
【投稿者】
30代 女性
【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】
しーんとする
【タイトル・著者】
江國香織「流しのしたの骨」
【その言葉が好きな理由・感動した理由】
主人公がまだ少女の頃に雨が降っているのを窓から眺めているときの心情を彼女は幼いなりに言葉にしたのがこの「しーんとする」です。 彼女の母親はそれは「悲しい」のよと言いますが彼女は納得しないながらもうけいれます。 でも、大人になった彼女はまだ雨がふっている窓を眺めてそれでも「しーんとする」のだそうです。 この江國香織さんの表現がいつも私の心の真ん中に刺さります。 私も雨がふっているときには寂しさとは違う何かが胸の中にいます。いつもはそれを気にすることもなく過ごしているのですがこの言葉と出会った時、ああ、これだ!私が感じていたことはこれだったんだ!と納得してしまいます。 あったこともない人が私の感覚を的確に表現してくれた時の感動はとても素晴らしいです。
【本の内容】
いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな‘小さな弟’律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。