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身近な人に喜んでもらえる料理を作ろう。たとえちっぽけな幸福でも、食べた後、幸せになる料理を、これからもずっと、作り続けていこう - 本で出会った素敵な言葉 vol.00058

 

【投稿者】

30代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

料理を捨ててはいけない。心からそう思った。だからまた一から料理をはじめよう、と。身近な人に喜んでもらえる料理を作ろう。たとえちっぽけな幸福でも、食べた後、幸せになる料理を、これからもずっと、作り続けていこう。ここ、食堂かたつむりの、世界にひとつしかない厨房で。

 

【タイトル・著者】

小川糸「食堂かたつむり」

 



【その言葉が好きな理由・感動した理由】

人を幸せにする。食の大切さや自分の夢を叶えるために関わってくれた人や物たちを思いやりながら、力に変えてゆく主人公リンコが発した言葉です。 私も悲しいことがあった時、食欲がなく痩せてゆく自分を心配してくれた人に「お菓子」と「色々あるけどきっと大丈夫。甘いもの食べて元気になってくださいね」と書いてあるメッセージカードを頂いたことがあり、食べた瞬間に涙が出てきて、食べすすむうちに、不思議とどうでも良くなったり、元気になったりしてきました。 食べ物は動物や植物の命で出来ていて、「食べるということは命をいただくこと」だと感じます。自宅でごはんを作っている時も、このフレーズを思い出すと、やさしい気持ちで料理へ取り込むことができます。

【本の内容】

トルコ料理店でのアルバイトを終えて家に戻ると、部屋の中が空っぽになっていた。突然、同棲していた恋人に何もかもを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、主人公の倫子はさらに声をも失う。たったひとつ手元に残ったのは、祖母から譲り受けたぬか床だけ。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな小さな食堂を始める。一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂。次第に食堂は評判になるが――五感をくすぐる瑞々しく繊細な描写と、力強い物語運びで話題を呼んだデビュー作。