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「赤ちゃんが生まれるんだって、わたせがおしえてくれたんだ」 まるで内緒話をするように、慎重に、言葉を選ぶように - 本で出会った素敵な言葉 vol.00041

 

【投稿者】

20代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

「赤ちゃんが生まれるんだって、わたせがおしえてくれたんだ」 まるで内緒話をするように、慎重に、言葉を選ぶように。 「そうしたら、あそんであげましょうって、......いつ生まれるの?」 鬼ごっこの途中でそれを伝えるために抜け出してきたのか、竜希は真剣な顔をして小さな手で神無の体に触れる。 華鬼と神無は顔を見合わせ、そして笑顔を交わす。 「もう少し先だな」 「桜の咲く頃。......待ち遠しいね、竜希」 ささやく声にもう一つの笑顔の花が重なった。

 

【タイトル・著者】

梨沙「華鬼 終焉とはじまりの乙女」

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

華鬼は人を信じれない青年で、しきたりで主人公の神無と結婚したものの、神無を鬱陶しく思い、何度も殺そうとしていました。 神無も華鬼と出会うまでに受けた恐怖によって男性を恐れ、人に寄り添うどころか笑えもしなかった女の子でした。 心を通わすまでにとても時間がかかり、その間にも二人には色々な危険や困難が起こり、それを乗り越えていくうちに、お互いが無意識に求め合ったり寄り添ったりして、やっと気持ちが通じました。 不器用ながらも晴れて仲良し夫婦になった二人の間に竜希という子供も居て幸せを感じている所に神無が今度は双子を妊娠した時の一節です。 そこまで結構シリアスで暗く怖い内容だっただけに、幸せになれてよかったねと文字なのに読んでいる私まで安心して、ほんわかして幸せを感じれたので、何度読んでも好きな場面だからです。 私もこんな幸せな家庭が築けたらいいなと憧れました。

【本の内容】

人とは異なりながら、人の世に順応して生きてきた一族“鬼”。女が忌まれないという彼ら一族は、母体に眠る女児に印を刻み、その娘が16歳になると花嫁として鬼ヶ里へ迎え入れることをならわしとしてきた。鬼ヶ里を離れのんびりと学生生活を送っていた士都麻光晴は、休暇を使って一人温泉旅行へと出かけ、旅先の森で美しい少女に襲われる。見事な黒髪、華奢な肢体、射るような黄金の瞳―去来する記憶に動揺する光晴。そして、少女の口から語られた意外な過去とは…。