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第一の価値観は、「世の中の、面倒くさい人ほど愛らしく、興味深く面白い」だ。 - 本で出会った素敵な言葉 vol.00015

 

【投稿者】

50代 男性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

第一の価値観は、「世の中の、面倒くさい人ほど愛らしく、興味深く面白い」だ。集団には馴染めないかも知れないし一般的な社会の評価の対象にもならないかもしれない彼ら彼女らだが、だからこそ突出してユニークなパーソナリティをもっている。人間の魅力とは、個人の能力などとは全く関係のないところにある。 (「脳が壊れた」p162)

 

【タイトル・著者】

鈴木大介「脳が壊れた」

 

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

この文章は、著者の妻について述べている中のものです。また著者が取材の対象としてきた人たちにも当てはまるものです。 さらに、私自身も周りからはかなり面倒くさい人だと思われています。会社員時代も組合があったので首にはなりませんでしたが、かなりの お荷物社員でした。会社や近所の人たちに、いろいろな形で迷惑をかけながら生きてきました。 著者は、自分自身が脳梗塞になったおかげで、そういう人たちの生きづらさというか、苦しみを身を以て体験することとなり、ライターとして この人たちが実際に感じているところを、一般の人たちにわかりやすく説明しようと悪戦苦闘しています。 世間からは「困ったちゃん」というレッテルを貼られていても、著者のように理解を示してくれる人が世の中にいて、少しづつでも こういう人たちへの理解が進んで行くことになるのではないかと期待できる新刊書です。

【本の内容】

養老孟司さん推薦! 「一気に読んだ。『人が変わること』とは『脳が変わること』。その脳の変化を当事者が 記録した、貴重なドキュメントである」 突然の脳梗塞に襲われた41歳のルポライター。一命は取り留め、見た目は「普通」の人と 同じにまで回復した。けれども外からは見えない障害の上に、次々怪現象に襲われる。 トイレの個室に突然老紳士が出現。会話相手の目が見られない。感情が爆発して何を見て も号泣。一体、脳で何が起きているのか? 持ち前の探求心で、自身の身体を取材して見 えてきた意外な事実とは? 前代未聞、深刻なのに笑える感動の闘病ドキュメント!


(目次)
まえがき

第1章 どうやら脳がまずいことになったようだ
二〇一五年初夏の消防団員 奪われてしまう宝物 「過労死するどー」
離脱する魂

第2章 排便紳士と全裸の義母
トイレの個室に現れた老紳士 変質者になった僕 片輪走行の脳

第3章 リハビリは感動の嵐だった
念動力の感覚 リハビリとはくじ引きである やればやっただけ回復する
脳細胞は助け合う 本が読めない

第4章 リハビリ医療のポテンシャル
発達の再体験・追体験 発達障害は生まれつきなのだろうか リハビリと高齢者の群れ
リハビリスタッフのポテンシャル 彼女たちの事情 リハビリのスキルに光を

第5章 「小学生脳」の持ち主として暮らす
記者廃業か 道路が渡れない 「妻の罵声」リハビリ
妻の世界が見えてきた 小学生脳 ロボットと人間の差
「不自由なこと探し」は難しい

第6章 感情が暴走して止まらない
構音障害 目の前にデギン登場 笑いが止まらなくなる
中二病女子的症状 巨大な感情のパワー

第7章 本当の地獄は退院後にあった
見た目は健常者でも 大きすぎる感情は言語化できない 泣きたいだけ泣くと
恐怖のNHK集金員

第8章 原因は僕自身だった
なぜ俺が 上がり続ける血圧 妻と僕の十六年間
面倒くさい人は愛らしい 妻の発病 生還
「家事をしなくていい」 背負い込むと無理が生まれる 優しさの質

第9章 性格と身体を変えることにした
家事の分担を決める 退院後の1日 身体の改善
元アスリートはタチが悪い BPMランの導入 我慢しないダイエット

第10章 生きていくうえでの応援団を考える
平和である 人の縁というネット 応援団を持つ
見栄とプライド 父への手紙 黙って行動を
鈴木妻から読者のみなさんへ

あとがき