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雨あがる - 私の人生に影響を与えた映画 vol.0030

 

【投稿者】

50代 男性

【人生に影響を与えた理由】

「人は何をしたかではなく、何のためにしたか、それが大事。」 主人公の妻たよが語った台詞にすべてが集約されていました。 人並み外れた剣の才能があるのに、人生をうまく立ち回れない主人公の生き方を、今風の空気を読んだ生き方ではない、と批判してしまうのは簡単なことです。 でも、結果が出なくても自分の信ずるところを外れずに、また人を押しのけたりせずに懸命に生きていく様に自分がこれからどう生きていくべきかを学びました。

 

【内容】

黒澤明が生前から温めていた企画を、黒澤組の助監督小泉尭史の手によって映画化。原作は山本周五郎の短編。享保時代、心やさしい三沢伊兵衛(寺尾聡)は剣術の達人ながら人を押しのけることができず、仕官の口もままならない浪人生活。妻たよ(宮崎美子)と共に旅を続ける。 雨の続く季節、川どめにあった彼らは、とある安旅籠に長逗留することになった。旅篭には行商人や農民、飯盛女など、庶民の活気にあふれている。三船史郎の殿様ぶりも、そのユーモラスな豪快さで父親の故三船敏郎を思わせて微笑ましい。寺尾の剣さばきの確かさ、宮崎の貧しくとも気品のある立ち居振る舞いの美しさ、旧黒沢組の総力を結集した美術の見事さ。まさに黒沢の意図したとおり、見終わってさわやかな気持ちになる作品だ。(堤 昌司)