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赤い繭:安部公房 - 私の人生に影響を与えた本 vol.0104

 

【投稿者】

40代 女性

【人生に影響を与えた理由】

高校の時、教科書に載っていたのを読んで感動しました。 当時は自分の存在になやんでいたのか、今思うと本当のところの意味は理解していたのかわかりませんが、 読み終わったときに何かが心の中で壊れたような衝撃を受けました。 その後図書館で本を借りて、何度も何度も読み返し泣きました。 当時は何かと生活といい進学といい、自分の思い通りにならず悩んでいたのですが、 何かが壊れて、人に流される事や、どうにもならない事に刃向かうこともやめたような気がします。 半年ぐらいしてから、新たな脇枝が生えるように、あきらめの中から出来る範囲の動きがとれるようになりました。 多分、この本をきっかけにだとおもいます。

【内容】

ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った芥川賞受賞の野心作。