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この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界は君を入れる容器ではない。 世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている - 本で出会った素敵な言葉 vol.0158

 

【投稿者】

40代 男性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界は君を入れる容器ではない。 世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。 君は自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界のほうはあまりきみのことを考えていないかもしれない。

 

【タイトル・著者】

池澤夏樹「スティルライフ」

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

ここまで透明度のある文章は今まで読んだ事はありませんでした。 世界と自分とのあり方をこれだけの文章で表現してるのは素晴らしいの一言です。 若い頃は自分の思うようにいかない事を全てまわりのせいにしてしまいがちですが、実は自分を取り巻く世界は自分の事なんてこれっぽっちも考えてはいないのす。この文章を読んで、そんなちっぽけな自分の存在に気づかされました。そして、世界との関わり方について深く考えさせられました。

【本の内容】

遠いところへ、遠いところへ心を澄まして耳を澄まして、静かに、叙情をたたえてしなやかに―。清新な文体で、時空間を漂うように語りかける不思議な味。ニュー・ノヴェルの誕生。中央公論新人賞・芥川賞受賞作『スティル・ライフ』、受賞第一作『ヤー・チャイカ』を収録。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。