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原稿には、わざと省いておきましたが、表題は「人間椅子」とつけたい考えでございます。では、失礼を顧みず、お願いまで。 - 本で出会った素敵な言葉 vol.0135

 

【投稿者】

20代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

原稿には、わざと省いておきましたが、表題は「人間椅子」とつけたい考えでございます。では、失礼を顧みず、お願いまで。

 

【タイトル・著者】

江戸川乱歩「江戸川乱歩傑作集」

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

これは閨秀作家の佳子の元へ届いたとある男からの手紙の最後の一節です。 彼女が仕事をする度に腰を掛けていた大きな椅子、その中に潜み彼女に恋心を抱き、盗みを働きながら過ごしていたという不気味で、だがそれでも続きを読まざるを得ない男の手紙を読み進めていく佳子の心情。 読み進める程に恐怖と不気味さを募らせていく彼女を最後の最後であっと驚かせたのは、男からの最後の手紙。 今までの不気味な話は全て男の考えた作り話。現実では無かったのです、という奇妙な安堵を佳子と読者にもたらすこの最後の一節は、この作品を何度も読み返したくなる不思議な力を秘めています。

【本の内容】

短編は推理小説の粋である。その中から珠玉の傑作を年代順に集成したアンソロジー。1には、巻頭に編者江戸川乱歩の「序」を配し、まず1860年のコリンズ「人を呪わば」に始まり、チエホフ「安全マッチ」、モリスン「レントン館盗難事件」、グリーン「医師とその妻と時計」、オルツィ「ダブリン事件」、フットレル「十三号独房の問題」そして今世紀初頭のバー「放心家組合」までの7編。全編に江戸川乱歩の解説、全巻末には中島河太郎の短編推理小説史を付した。

●収録作品
コリンズ「人を呪わば」
チエホフ「安全マッチ」
モリスン「レントン館盗難事件」
グリーン「医師とその妻と時計」
オルツィ「ダブリン事件」
フットレル「十三号独房の問題」
バー「放心家組合」