どんなに大きな手ですくっても隙間から水は零れ落ちるように、全てを救いたくても救えないものもある - 本で出会った素敵な言葉 vol.0111
【投稿者】
30代 女性
【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】
どんなに大きな手ですくっても隙間から水は零れ落ちるように、全てを救いたくても救えないものもある。
【タイトル・著者】
香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常」
【その言葉が好きな理由・感動した理由】
ちょうど親友を自殺で亡くした直後に読んだ本の一節でした。一度、死のうとしていたその親友を助けられたから二度目も救えると簡単に思っていた自分の浅薄さに打ちのめされていた頃、たまたま出会った小説の中に出てきた一文に涙が止まりませんでした。救いたくてたまらない命を手の内に留められなかったからこそ、今、自分の手の内にある命や誰かの心を傷つけたり零してしまわないよう、大切にしたいと思っています。 この一節に出会えたのは亡くなった親友が導いてくれたのだと思っていますし、今でも感謝しています。
【本の内容】
俺が入居したアパートは、物の怪たちの巣窟だった! 共同浴場は地下洞窟にこんこんと湧く温泉、とてつもなくうまいご飯を作ってくれる「手首だけの」賄いさん――13歳で両親を失った俺が高校進学と同時に入居したのは人呼んで“妖怪アパート”! 次々と目の当たりにする非日常を前に、俺の今までの常識と知識は砕け散る。