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夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました - 本で出会った素敵な言葉 vol.00095

 

【投稿者】

30代 男性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。もう山焼けの日はたばこの吸殻のくらいにしか見えません。よだかはのぼってのぼって行きました。 寒さにいきはむねに白く凍りました。空気がうすくなった為に、はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。 それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変わりません。つくいきはふいごのようです。 寒さや霜がまるで剣のようによだかを刺しました。よだかははねがすっかりしびれてしまいました。そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。そうです。これがよだかの最後でした。

 

【タイトル・著者】

宮沢賢治「よだかの星」

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

醜く罵られ、脅されたよだかが生きている最後の姿が凄く印象深かったです。 何故、太陽や、オリオン座、大犬座、大熊座、鷲座、と行き、断られても諦めず空へ向かい向かうのか、今まで考えていても分かりません。 でも、頼る場所が他に無いから向かっているのかなと思いました。 そしてまた、空へ向かい酸素が薄さや寒さに肌を刺す程の痛みにも耐えてもただ飛んで行く姿が勇ましく、悲しいと感じました。 よだかはその後、星になるのですが、命を尽きるまでの一文、色んな意味合いが込められている様で、考えさせられ、とても好きな一文でした。

【本の内容】

醜い姿の「よだか」は似ている鷹に名を変えろと強要され、生きることに絶望する。 彼は太陽や星に一緒に連れていってほしいと願うが拒まれる。 そんな彼はひたすら空を飛び続け、「よだかの星」となって燃え続けた……。生きることとは?自分の存在とは何なのか?を問う。