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もし小学生のときに出会っていたら、俺はあなたに肩の傷をつくらせなかった。 中学生のときに出会っていたら、一緒に遠くに家出をした。 高校生のときに出会っていたら、俺は毎日あなたに聴いてもらうためにギターを弾いた。 もし大学生のときに出会っていたら、俺もあなたも、いま絶対にここにはいない。 - 本で出会った素敵な言葉 vol.00074

 

【投稿者】

20代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

もし小学生のときに出会っていたら、俺はあなたに肩の傷をつくらせなかった。 中学生のときに出会っていたら、一緒に遠くに家出をした。 高校生のときに出会っていたら、俺は毎日あなたに聴いてもらうためにギターを弾いた。 もし大学生のときに出会っていたら、俺もあなたも、いま絶対にここにはいない。

 

【タイトル・著者】

江國香織「神様のボート」

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

実際、そうではなかったから、いろいろなことが違ってしまったけれど、いつ出会っても必ず共にいたのだろうと思わせる一節。 初めてこの本を読んだのは、中学生の頃で、恋愛なんて憧れでかなく、愛とは何かなど考えもしませんでしたが、その一節は印象的でずっと胸に残っていました。 それから十年以上経ち、大人になってからふと思い出し、本棚から引っ張り出して読み返しました。 あの頃の私には分からなかったけれど、今ならこの一節が、どれほど愛と幸福に溢れているのかが分かります。その時出会えなかったことのもどかしさも。 その人の過去でさえ幸せにしたいと願う、真摯に愛することの幸せを知った一節です。

【本の内容】

昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子"。必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。“私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの"“神様のボートにのってしまったから"――恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遥かな旅の物語。