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後悔しても時は戻らない、ならば後悔したまま一生を生きよう - 本で出会った素敵な言葉 vol.00073

 

【投稿者】

20代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

喪失は喪失のままに、背負って生きていくのが残されたものの責務だ。それこそが逝ってしまったものへの最大の愛情の示し方だ。後悔しても時は戻らない、ならば後悔したまま一生を生きよう。

 

【タイトル・著者】

高羽彩「PSYCHO-PASS サイコパス/ゼロ 名前のない怪物」

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

生きていれば必然的に別れ、つまり死がある。それが衰弱死や安らかな病死ならまだしも、唐突で残酷な最後を迎えることも時にはある。日本でも毎年多くの人が自死の道を選んでいるが、自分が大切に思っていた人間の自殺は残されたものにとって激しい苦痛を伴う。その死の原因に、少なからず自分への責任が感じられたとしたらなおさらだ。ではどうしたらいいのか。この小説の主人公は品行方正とは言いがたく恵まれた人生ではなかったが、己の芯を持って生きている。そんな彼が最愛の妹の自殺を経験し、なお自我を保って生きていく中で心に思い描いた言葉がこれだった。死んでしまった者を嘆くのではなく、その責務を背負い生きていくことが最大の愛情となる。大切な人の死を経験した人が、誰しもこんな風に前を向いて思えるわけではない。だが辛い人生を歩んできた彼だからこそ、この言葉には重みがあり、また自分もこんな風に故人を想っていきたいと思ったので、この一節を選びました。

【本の内容】

西暦2109年。人間の心理・性格的傾向を数値化できるようになった未来世界。厚生省公安局刑事課に所属し、当時、“監視官”だった狡噛慎也は、“執行官”の佐々山光留と、名門女子高校・桜霜学園の生徒、桐野瞳子に出会う。常守朱が刑事課に配属される3年前、後に“標本事件”と呼ばれ、狡噛が執行官に堕ちるキッカケとなった猟奇殺人事件の真相とは―。本書でしか読むことのできない書き下ろしショートストーリーも収録。