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むかし、ヨーロッパとアジアという2人の姉妹がいて、ひとりはキリスト教、もうひとりはイスラム教を信じていた - 本で出会った素敵な言葉 vol.00028

 

【投稿者】

20代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

「むかし、ヨーロッパとアジアという2人の姉妹がいて、ひとりはキリスト教、もうひとりはイスラム教を信じていた。」

 

【タイトル・著者】

ジョルジュ・タート「十字軍 ヨーロッパとイスラム・対立の原点」

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

多くの日本人にとって、キリスト教とイスラム教は全く別の宗教に見えます。キリスト教とイスラム教には数多くの相違点がありますが、共に一神教であり、そういう意味では兄弟姉妹のようなものです。この一節には続きがあり、「最初に顔を見交わしたとき、2人の瞳には敵意がみなぎっていた。」という一文で終わります。最後の一文は十字軍遠征がきっかけで、2つの宗教の対立が始まったことを表しています。十字軍によって作られた中東の傷跡は、今日のテロや戦争の原因になっています。「むかし、ヨーロッパとアジアという2人の姉妹がいて、ひとりはキリスト教、もうひとりはイスラム教を信じていた。」という一節は、私に「この2つの宗教は、いつか仲直りできるのではないか」と思わせてくれました。今は険悪な関係にある兄弟姉妹でも、生まれたばかりの頃は決して犬猿の仲ではなかったはずです。

【本の内容】

十字軍について、イスラム圏からの研究、女性や貧者の役割、精神史的研究などの新しい研究動向を組みこみ、わかりやすく要点を押さえた解説を加える、十字軍史の入門書。