本棚

本や映画の情報サイト

恋の満足を味わっている人はもっと暖かい声を出すものです。しかし……しかし君、恋は罪悪ですよ。解っていますか - 本で出会った素敵な言葉 vol.00022

 

【投稿者】

20代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

恋の満足を味わっている人はもっと暖かい声を出すものです。しかし…しかし君、恋は罪悪ですよ。解っていますか。

 

【タイトル・著者】

夏目漱石「こころ」

 

 

【その言葉が好きな理由・感動した理由】

夏目漱石の「こころ」、有名な小説ですがその一節一節をきちんと見直したことがある人は少ないように思います。この一節は、若い日に一つの恋によって自分自身の心と、そして他人の人生までもを変えてしまった先生の一言です。先生は若い頃から気立てのいい妻の居る今もなお、恋の罪悪に苦しめられています。今や時は平成、当時と違う時代にあっても恋の罪悪に苛まれる人々のこころは全く変わっていないのではないか、経済や情勢がいくら成長しようとも、人はいつの時代も同じ位置にしか立っていることはできないのではないか、と思わせられる一言だと感じ感動しました。

【本の内容】

明治期の文学者、夏目漱石の長編小説。「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」[1914(大正3)年]。「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の3部からなる晩年の傑作。親友Kを裏切って好きな女性と結婚した罪を負う先生の行く末には絶望と死しかない。「こころ」というタイトルに包まれた明治の孤独な精神の苦悩には百年たった今も解決の道はなく、読者のこころを惹きつけてやまない。新聞連載後岩波書店から刊行のとき、装幀は漱石自身が「箱、表紙、見返し、扉及び奥附の模様及び題字、朱印、検印ともに、悉く自分で考案して自分で描いた」。