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勝とうとおもうな。また、負くるとおもうな。これまでに、わしが教え伝えたことを、その一剣にこめ、打ちかかれよ。 - 本で出会った素敵な言葉 vol.00014

 

【投稿者】

40代 女性

【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】

「相手は手強いが、わしがつきそうているゆえ、無二無三に立ち向かえ。勝とうとおもうな。また、負くるとおもうな。これまでに、わしが教え伝えたことを、その一剣にこめ、打ちかかれよ。」

 

【タイトル・著者】

池波正太郎「剣客商売十一 勝負」


【その言葉が好きな理由・感動した理由】

これはある若者が父親の仇を打つために出かけようとする際に、剣の師匠がその若者に贈ったことばです。仇討ちとは無縁ですが、この一文がわたしの心にすっと染み込んできました。やたらに勝ち負けが気になる毎日を送っていました。あの人と比べて自分の方が仕事ができるかどうかに始まって、自分の境遇、持ち物について等など。切りがない、こんな事はやめなくてはと思いつつやめることができずにいました。でもこの一文を読んで、ふと人生に置き換えてみたのです。「勝ち負けに囚われず、これまでに様々な場面で学んだことを活かしつつ、ただひたすら懸命に生きよ」そう言われているような気がしました。自分はただひたすら懸命に生きてきただろうか?そう思ったとき不思議と肩の力が抜けました。その時から徐々に他人のことが気にならなくなり、今は自分の道を進むことに集中できるようになりました。わたしにより良く生きる道を教えてくれた一文です。

【本の内容】

その試合「負けてやれ」。秋山大治郎が義父・田沼意次から一刀流の道場を構える谷鎌之助との試合を命じられた経緯を報告すると、小兵衛は即座にそういった。鎌之助はその試合に仕官がかかっていたのである。勝負を前にして苦悩する大治郎には、まもなく初めての子が授かろうとしていた……。初孫・小太郎の命名をめぐる小兵衛の意外な一面など面白さがいよいよ冴えるシリーズ第11弾。