“禁止されていない”ということは、“許されている”ということではないんだよ - 本で出会った素敵な言葉 vol.00011
【投稿者】
20代 男性
【本で出会った素敵な言葉・好きな一節・感動した一文】
「“禁止されていない”ということは、“許されている”ということではないんだよ」
【タイトル・著者】
時雨沢恵一「キノの旅」
【その言葉が好きな理由・感動した理由】
このセリフはとある老人の言葉です。キノの旅においては一回しか登場していない、もっと言えば主要なキャラクターではありません。ですがキノの旅にはそういったキャラクターは数多く登場します。 私がこのセリフを好きな理由は、ハッとさせられた言葉だからです。このセリフが使われたのは「人を殺すことが出来る国」という話で、この国では人を殺すことが禁止されていません。それゆえその噂を聞いた男はこの国に入国して、主人公のキノを殺そうとするのです。そしてその場に居た老人が言ったのがこのセリフなのです。禁止されていないからやっていいというわけではない、物事の本質を捉えた深いセリフだと私は思います。
【本の内容】
「キノはどうして旅を続けているの?」 「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか? ものすごく汚い人間ではないか? なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ……。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする」 ―――短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。今までにない新感覚ノベルが登場!