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美学への招待:佐々木健一 - 私の人生に影響を与えた本 vol.0130

 

【投稿者】

20代 女性

【人生に影響を与えた理由】

中学時代の国語の教科書に、この本の「コピーの芸術」という一節が取り上げられていたことで、私はこの一冊に出会いました。オリジナルとコピーの関係は、本来であればコピーのほうがオリジナルに比べて劣るとされ、オリジナルこそ真の価値を持っているとされがちです。しかし複製の技術が発達した現在では、私達はオリジナルの芸術よりもコピーの芸術に多く触れ、オリジナルの体験は、コピーを通して見てきたものの再認体験でもあるということです。はたして今の時代、コピーがオリジナルに必ず劣ると言い切れるのでしょうか。このように、既存の芸術に対する価値観を打ち破る”美学”の魅力が読みやすい口語体で書かれ、当時中学生であった私は鮮烈な印象を受けました。そして現在、私は大学で「芸術の価値とは何か」を個人研究のテーマとして定め、非常に楽しく勉学に励んでいます。この本と出会えて良かったと思います。

 

【内容】

二〇世紀後半以降、あらゆる文化や文明が激しく急速に変化しているが、藝術の世界も例外ではない。複製がオリジナル以上の影響力を持ち、作品享受も美術館で正対して行うことから逸脱することが当たり前になってきている。本書は、藝術が、いま突きつけられている課題を、私たちが日常抱く素朴な感想や疑問を手がかりに解きほぐし、美と感性について思索することの快楽へといざなう、最新の「美学入門」である。

 

【目次】

第1章 美学とは何だったのか
第2章 センスの話
第3章 カタカナのなかの美学
第4章 コピーの芸術
第5章 生のなかの芸術
第6章 全身を耳にする
第7章 しなやかな応答
第8章 お好きなのはモーツァルトですか?
第9章 近未来の美学