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廃用身:久坂部羊 - 私の人生に影響を与えた本 vol.0107

 

【投稿者】

50代 男性

【人生に影響を与えた理由】

女房が病気をしがちで、6年前乳がんに罹患し、それ以来医療というものにとても関心を寄せてきた。昨今よく言われるセカンドオピニンや死ぬ権利の問題など患者サイドとして切実なキーワードをフィクションとは思えぬタッチで描いているのがすごい。 女房も大変な人生を歩き、私自身もリストラなど世間の厳しさに辛酸をなめている今、他人事や小説だけの内容としてだけでではないリアルさがひしひしと伝わり、久坂部羊は自分たちのことを理解してくれているという安堵感が気持ちを楽にさせてくれる。これからの人生におけるリラクゼーション的小説になることは間違いない。

【内容】

「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で動かなくなり、しかも回復の見込みのない手足のことをいう医学用語である。医師・漆原糾は、神戸で老人医療にあたっていた。心身ともに不自由な生活を送る老人たちと日々、接する彼は、“より良い介護とは何か”をいつも思い悩みながら、やがて画期的な療法「Aケア」を思いつく。漆原が医学的な効果を信じて老人患者に勧めるそれは、動かなくなった廃用身を切断(Amputation)するものだった。患者たちの同意を得て、つぎつぎに実践する漆原。が、やがてそれをマスコミがかぎつけ、当然、残酷でスキャンダラスな「老人虐待の大事件」と報道する。はたして漆原は悪魔なのか?それとも医療と老人と介護者に福音をもたらす奇跡の使者なのか?人間の誠実と残酷、理性と醜悪、情熱と逸脱を、迫真のリアリティで描き切った超問題作。

 

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