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野獣死すべし:大藪晴彦 - 私の人生に影響を与えた本 vol.0073

 

【投稿者】

50代 男性

【人生に影響を与えた理由】

私は中学校卒業まで小説といったものをほとんど読んだ記憶がない。読むのはほぼ漫画のみ。そんな私が本格的に読みだすきっかけになったのが野獣死すべし。ハードボイル小説の代名詞みたい作品で特に松田優作主演の映画は何度もみた。 読む前にアクションシーンを文字で表現しても迫力などを感じることなどあり得ないと思っていたが、この小説を読んでびっくりしたものだ。その甘い考えを根底からひっくり返すような迫力のリアルな表現に圧倒された。それからはアクションものにはまり、大藪作品にはまり、高校生の自分は大藪作品と共にあったよようなものだ。いつかもう少し時間に余裕ができるようになったら、あの時の自分を、青春をよみがえらせるような感覚をもう一度味わいたい。

【内容】

敗戦で満洲から引揚げた伊達邦彦少年は、大戦の惨害に人間性の根底まで蹂躙され、大学生の頃には計算しつくされた完全犯罪を夢見るようになる。大学入学金の強奪に成功した彼は、戦時中父の会社を乗っ取った京急コンツェルンに対し執拗な復讐を開始する。怜悧な頭脳、端正な容貌と猛獣のような体躯を持つ非情の男伊達邦彦を描くハードボイルド小説の傑作。大藪春彦のデビュー作。